朝の鎌倉、テラスに並ぶ季節の花たちに水をやりながら、私はいつも思うのです。
花は、私たちの暮らしにそっと寄り添い、心に小さな余白を作ってくれる存在だと。
20年以上、花と向き合い続けてきた花屋の店主として、今日は皆さまに「長く楽しめるお花の選び方」をそっとお伝えしたいと思います。
毎日の水やりの中で気づいた、花の声を聴くコツや、季節ごとの花選びの秘訣を、隣でお茶を飲みながらお話しするように、やさしくお届けしますね。
花のある暮らしは、きっとあなたの日々を、今よりもう少し豊かに彩ってくれるはずです 🌸
なぜ「お花が長持ちするかどうか」が大切なの?
見た目の美しさだけでなく、心のゆとりにも影響
お花を選ぶとき、つい色や形の美しさに目を奪われがちですが、「長持ちするかどうか」は実はとても大切なポイントなのです。
長く咲き続ける花は、私たちの心に安らぎをもたらし、日々の慌ただしさの中でも、ふとした瞬間に気持ちを和らげてくれます。
花屋を営んでいて感じるのは、お客さまが花を長く楽しめたとき、その表情がとても穏やかになることです。
花の鮮度は”目に見えない命”のようなもの
「この子はいい子だな」と感じる花には、必ず理由があります
私が市場で花を仕入れるとき、いつも花の「生命力」を感じ取ろうとしています[1]。
新鮮な花は、葉にツヤがあり、茎がしっかりと張っており、花びらに弾力があるものです。
まるで朝の光を浴びて、今にも歌い出しそうな生き生きとした表情をしているのですね。
心と空間にやさしく寄り添う花の存在意義
長持ちする花を選ぶということは、その花との時間を大切にするということでもあります。
毎朝の水替えや、少しずつ変化していく花の様子を見守ることで、私たちは自然のリズムに触れ、心にやさしい時間を過ごすことができるのです。
これこそが、花のある暮らしの本当の豊かさだと思うのです 🍃
花屋の店主が実践する「花選び」の秘訣
花びら・茎・葉…見るべき”しるし”はここ
20年以上花と向き合ってきた経験から、長持ちする花を見分けるポイントをご紹介しますね。
花の鮮度チェックポイント
- 花びら: 触れるとハリがあり、乾燥していないもの
- 茎: 太くてまっすぐ、切り口が新鮮で変色していないもの
- 葉: ツヤがあってピンと伸び、しおれていないもの
- 全体の印象: 水上がりが良く、生き生きとした雰囲気
市場で見極める、仕入れのプロの視点
私が市場で花を選ぶとき、まず花全体の「オーラ」のようなものを感じ取ります。
新鮮な花は、その場にいるだけで空気が澄んだような感覚になるのです。
特に朝の市場では、前日の夜に収穫された花たちが、まだ夜露の記憶を残していて、とても美しく輝いています[2]。
最近では、花屋の仕入れ環境も随分と変わってきました。
従来の市場での仕入れに加えて、花の通販サイトでは水揚げ済みの新鮮な花材を小ロットから購入できるようになり、小さな花屋さんや個人の方でも、より手軽に質の良い花を仕入れることができるようになったのです。
「この子はいい子だな」と感じる花の特徴
葉のツヤや茎の張りが教えてくれるサイン
葉っぱは花の健康状態を表すバロメーターです。
艶々と光る葉は、その花がしっかりと水を吸い上げている証拠。
茎を軽く触ってみて、弾力があり、しっかりとした張りを感じられるものを選びましょう。
季節ごとの”旬の花”の魅力
鎌倉で暮らしていると、季節の移ろいをとても身近に感じます。
春には桜や菜の花の優しい香り、夏には紫陽花の涼やかな色合い、秋には菊の凛とした佇まい、冬には椿の温かな赤色。
それぞれの季節の花には、その時期ならではの生命力が宿っているのです 🌺
お花の種類別:長持ちしやすいおすすめセレクション
一輪でも映える!頼れる定番花ベスト5
長く花屋を営んできて、「この花なら間違いない」と自信を持っておすすめできる花たちをご紹介しますね。
花名 | 持ち日数目安 | 特徴 |
---|---|---|
カーネーション | 7-14日 | ゆっくり咲き、スプレータイプは順番に開花 |
ガーベラ | 5-10日 | 咲いた状態で長持ち、水切りで復活も |
ユリ | 7-14日 | つぼみから順番に咲き、香りも楽しめる |
キク | 10-21日 | 最も長持ちする花の代表格 |
洋ラン | 14-28日 | デンファレや胡蝶蘭は特に長寿命 |
季節別に楽しむ、長く咲く花の選び方
春の装い(3-5月)
ラナンキュラスの柔らかな花びらや、チューリップの可憐な姿は、春の陽だまりを思わせます。
夏の涼やか(6-8月)
アンスリウムのガラス細工のような美しさや、ヒマワリの力強い生命力は、暑い季節でも心を軽やかにしてくれます[3]。
秋冬の温もり(9-2月)
クリスマスローズの上品な佇まいや、ポインセチアの華やかな赤は、寒い季節に心を温めてくれる存在です。
和の空間にも合う、持ちのよい茶花の世界
季節を告げる枝もの・草花の魅力
千利休の「花は野にあるように」という教えにもあるように、茶花は自然の美しさをそのまま表現します。
椿は冬から春にかけて長く楽しめ、一輪でも空間に品格をもたらしてくれます。
桔梗や野菊は、その素朴な美しさで、心に静寂をもたらしてくれる特別な花です。
茶花を選ぶときは、満開のものではなく、つぼみや咲きかけのものを選ぶのがコツですね ✨
鎌倉の自然に学ぶ、「花の寿命を延ばす工夫」
水替え・切り戻しのちょっとしたコツ
毎朝のテラスでの水やりで学んだ、花を長持ちさせる秘訣をお伝えしますね。
日々のお手入れリスト
- 毎日の水替え(夏は朝夕2回)
- 茎の切り戻し(1cm程度を水中でカット)
- 枯れた花や葉の除去(こまめに取り除く)
- 花瓶の清掃(中性洗剤でしっかり洗浄)
水切りをするときは、必ず水中で斜めに切ることが大切です。
こうすることで、茎の断面が広くなり、水をたくさん吸い上げることができるのです。
花瓶選びも、花もちに大きく関係します
花瓶選びは、花の寿命を左右する重要なポイントです。
口径が5-10cm程度で、つぼ型やくびれのあるものを選ぶと、花がまとまりやすく、初心者の方でも美しく活けることができます。
ガラス製の花瓶は清潔を保ちやすく、花の茎の美しさも楽しめるので、特におすすめです。
光や風通し、置き場所が左右する”命のながれ”
鎌倉の我が家では、花を直射日光の当たらない、風通しの良い場所に置いています。
エアコンの風が直接当たる場所は避け、できるだけ涼しく、穏やかな環境を整えてあげることが大切です。
花の声を聴くように、日々の変化を感じる暮らし方
花は、毎日少しずつ変化している。その変化を楽しむことこそが、花のある暮らしの醍醐味です
毎朝の水替えのとき、花の表情をよく観察してみてください。
昨日よりも少し開いた花びら、新しく顔を出したつぼみ、そんな小さな変化に気づけるようになると、花との時間がもっと豊かになります 🌿
お花を選ぶとき、心に留めたい”もうひとつの視点”
自分や贈る相手の心に響く”色”と”香り”
花選びでは、長持ちすることも大切ですが、その花が持つ「エネルギー」のようなものも重要です。
優しいピンクは心を和らげ、清らかな白は気持ちをリセットし、鮮やかな黄色は元気を与えてくれます。
香りも大切な要素です。
ユリの甘い香り、バラの上品な香り、スイートピーの優しい香り、それぞれが私たちの記憶や感情に働きかけてくれます。
「今の自分に必要な花」は不思議とわかる
長年花屋をしていて感じるのは、お客さまが「今の自分に必要な花」を直感的に選ばれることが多いということです。
疲れているときは癒し系の花を、元気を出したいときは明るい色の花を、自然と手に取られるのです。
長く咲く=長く寄り添ってくれる花の力
長持ちする花を選ぶということは、その花と長い時間を共に過ごすということでもあります。
毎日見つめる花だからこそ、自分の心に響く色や形、香りのものを選んでいただきたいのです。
花は私たちの感情を映し出し、時には励まし、時には慰めてくれる、とても大切なパートナーなのです 💕
まとめ
花屋として20年以上、鎌倉の自然の中で花と向き合い続けてきた私から、皆さまにお伝えしたいことがあります。
花を長く楽しむための3つのポイント
- 花びら・茎・葉の状態をよく観察して、生命力あふれる花を選ぶ
- 季節に合った花を選び、適切なお手入れで花の寿命を延ばす
- 自分の心に響く色や香りを大切にし、花との時間を楽しむ
花はただ美しいだけでなく、私たちの日々をやさしく彩り、心に余白を作ってくれる特別な存在です。
長く咲き続ける花との時間は、きっとあなたの暮らしに小さな幸せをもたらしてくれるでしょう。
今日からできることとして、まずは一輪の花を手に取り、その花の声に耳を傾けてみてください。
花とともに過ごす時間が、あなたの心にやさしい変化をもたらしてくれることを、心から願っています。
参考文献
[1] 切り花を長持ちさせる方法は?老舗生花店がお答えします | 青山花茂BLOG